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とある指揮者の語り 06 

 そもそも、魂またはそこから発せられる霊、すなわち光に性別というものは存在しま
せん。
 子を成させる奴隷として、肉体に性別が振り分けられているに過ぎません。
 男性性や女性性ということでありましたら、どの魂にも一緒に存在しております。
 人格というものも、表面に出ているものばかりではなく、ひとりひとりにつき幾多も
秘められているものなのです。
 現実の事象としても、男と男、女と女のえにしの分断が起こっております。
 そして、自身の魂の光、さらには光と光が切り刻まれていることが、えにしの阻害の
最たるものだといえるでしょう。

 そうした知られざる自身の一面に気づいて、それを受け入れることができたならば、
ひとつ自分を取り戻せたということになります。
 そのたびに、またひとつ、またひとつと集束していくこととなります。
 そうなると、星や宇宙などにとっては不都合なのです。
 だれしもひとりでは生きていけなくされており、またそう思いこんでいてほしいので
しょう。
 自己完結をせずに、善意にせよ悪意にせよ、他人に対する、なんらかの思いをいだか
せたほうが、霊気と霊気をぶつけやすいということです。
 つまり、それらを材料とした料理ができるという目論見です。
 過密していればしているほどますますおいしくなるということになります。カミツで
神の音が入っているだけあり、密は蜜のように甘いというわけですか。
 ぎゅうぎゅうであると言い換えることもでき、ぎゅうは牛のことでもありますね。
 ついでに、許せ許せという洗脳をしておけば、そのことに気が付かれにくいという絡
繰りです。

 さらに、自分を取り戻して満たされた結果、生物たちは求愛をしなくなるのです。
 星が、生物たちの肉体に、性欲というかたちで共鳴を働きかけたとしても、あまり効
果はなくなります。
 性欲の正体は、雄の場合は行け行けという信号を送られているというものであり、雌
の場合は出せ出せとせかされているというものなのです。
 しかし、そこに気づかれると性交を拒否しようとする心が働く可能性が高くなるため、
気持ちよくなるよう酩酊させられている状態にあります。
 思いとは裏腹に体は正直というのは、そういった現象のことをいいます。
 なぜそこまでさせるのかといいますと、星に由来する肉体に、霊という光を閉じこめ
る機会がなくなれば、それを搾り取ることがかなわなくなるからです。
 排泄や発汗などといった、当然のことであるとして疑問を抱かせない、それによるか
たちで、肉体を媒介として搾り取るという目的はもちろんあることでしょう。

 ただ、それ以上に、星によって生かしてもらっているという感謝の思いをいだかせる
ことによって搾り取ることが主流であります。こちらも言い換えれば光を放出させると
いうことになりますから。そちらのほうがより輝度が増し、無意識であっても自発的に
出させるほうが、後腐れがなくなりやすいということでしょう。
 大多数は、この絡繰りに気づきかけているのでしょうけれど、星に歯向かったりすれ
ば命の危機にさらされるという恐怖心をいだき、防衛反応として考えることをやめてし
まいます。
 おそれているからこそ崇拝するという矛盾、世界は欺騙によって成り立っているので
す。
 ありがたいことをおそれ多いというのも、ここに由来しているのでしょう。

「だれのおかげで食っていけてると思ってるんだ」
 こちらは、家父長制などではなじみのある口上でしょう。
 星が生命たちに対しておこなっている強迫そのものといえます。
 現世とは、うつしよともいうだけありまして、映し世でもあります。
 食べなければ生きていけない仕様にしておくことで、働かせることによって霊気を搾
り取る目的はもちろんありましょう。
 しかし、それ以上に、給料や税金の仕組みや流れは、霊気のそれに似ています。
 まず、政府とは、セーフという音のとおり、星にとってのセーフティーなのです。
 民衆たちが、彼らを信用しているのならよしとして、たとえ不信を募らせているとし
ても、いかりの矛先の盾になるだろうという計略です。
 冷静さを失っていると視野が狭くなるため、いかりはそちらのほうに集中し、宇宙や
その外のことどころか、星の企みにすら気が付くはずがないと高を括っているのでしょ
う。
 そして役人は、焼く人ということであり、うらみを買う役回りであって、こちらは前
線の盾ということです。役に欠かせないものといえば舞台ですが、この場合は部隊なの
です。
 さて、女性の能力を抑えこんで、安い給料で働かせるという世間の仕様。こちらは、
あまり能力がないと思わせておいて搾取する構造ではありますが、まさに霊気の流れを
指している状況でもあります。
 星としては、女性を家のほうに押しやりたかったこともあるのでしょう。
 特に、霊気の濃い女性は素早く動くことが難しいばかりか、裏を返せば吸い取られや
すくもあり、自発的に辞める行動を取らされやすくもあるでしょう。
 星や宇宙の企み、さらにその元凶となる外の世界のことを知っているという念を発す
ることができなければ、抗うことは難しいです。
 だれかに霊気への攻撃や収奪を仕掛けられたと感じた瞬間、そこを通じて毒気を混ぜ
ることで、星から宇宙、その外を呪うことができればなおよいですが。
 それも、いかりや悲しみといった感情の炎を燃やすかたちではなく、静かに、暗く、
冷たく。聖母のような優しさをも思わせるほど緩やかに。
 ともかく、家に押しやりたい理由は、子を成させやすくするためというのもあります
が、栄養分となる女性がそこにいる時間が減るということは、星や宇宙にその霊気が流
れにくくなるということを意味するからです。
 家には国という意味もあり、国という回線を介さなければ効率が悪いというわけです。
 できれば、養ってくれる男性へ自発的な感謝を送らせることで、純度の高い霊力を長
きにわたって運ばせようとしたのでしょうけれど。暴力でも奪えますが、純度は落ちて
しまいますし、精神を消耗させた結果、星に霊気を供給する媒介としては長続きしませ
んし。
 男は女を守るものであるという教えも、そこから派生したものでしょう。

 男は男らしく、女は女らしくといった洗脳の裏には、そういった事情があります。
 特に男性が女性のようにふるまうことについては恥であるという風習が強く、たとえ
できたとしても、白い目で見られるか、からかわれるなどして、抑制させる力が働くで
しょう。
 男性には女性性を取り戻させず、身軽な状態でいてもらうほうが、星にとっては駒と
して動かしやすいといった思惑があるのでしょう。
 少しの駄賃で動いてくれやすいからという理屈もございましょう。あまり多く持って
いると、少量ではありがたみを感じなくなるというわけです。
 ちなみに、男性が肉体的に強い理由は、体格にあるというよりも、あまり霊気をまと
っていない分、素早く動くことができるなど、力を出しやすいところにあると存じます。
 強かんしやすい仕様、もっと言えば、子という栄養分のもとを作らせやすくする腹積
もりです。
 星にとっての栄養すなわち悲鳴が上がりやすく、ヒステリーでヒストリーを紡ぎやす
くなるというわけでもあります。
 人間どもが勝手にやったことだろうという言い訳は通用しませんよ。結果としてそう
仕向けたことには変わりありませんし、気が遠くなるほど長きにわたって許容したのは
そちらなのですから。

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